写真記者が振り返るサッカーこの1年~取材の現場から [サッカー]

東日本大震災など不幸なニュースが目立った中で、明るい話題を提供したのはスポーツ、特にサッカーだったのではないでしょうか。
サッカー担当カメラマンが、個人的な思いを入れて10大ニュース風に1年を振り返っています。

 ▽10位「日本代表・韓国に圧勝」(8月10日、札幌ドーム)
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 1試合だけで判断するのは早計だが、それを差し引いても3-0圧勝は予想できなかった。アジア杯優勝が選手に自信を与えていた。余裕あるプレーが随所に見られ、久々に安心して見られた。今は韓国のほうが気なる。W杯3次予選敗退の危機を迎えており、監督交代でかつての強さを取り戻せるだろうか。



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▽9位「クラブW杯・バルサ異次元の強さ」(12月18日、横浜国際)

 まだ記憶に新しいが、どれだけ撮ってもバルセロナのメッシは飽きない。「もっと撮っていたい!」と感じる被写体だ。「ボールが足に吸い付く」。言葉にすると陳腐だが、メッシを撮っていると「本当にそうなのでは…」とも思った。何より、本国から遠い日本の地で本気でプレーしてくれて感謝!

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▽8位「清水・高原直泰 古巣に雪辱弾」(6月18日、埼スタ)
 浦和レッズを追われた清水エスパルスの高原が、はじめて迎えた古巣との試合。泥臭く飛び込んでヘディングシュートを決めると、力強くガッツポーズ。男の意地を見せつけた瞬間だった。対照的に今年の浦和はエジミウソンを放出し、GM解任、監督解任など負の連鎖が続いた。最後は柏レイソルの初優勝を目の前で見せ付けられ、サポーターは散々だったと思う。が、その怒りの矛先を間違えちゃいけません。我々、カメラマンにぶつけたって何にも始まりませんから。

松田直樹.jpg ▽7位「松田直樹さん、早すぎる死」

 36歳の私にとって、年下(34歳)のサッカー選手の死去は、ただ、ただショックだった。しかし、時は止まらない。松田さんが所属した松本山雅は故人の思いを胸に頑張り、悲願のJ2昇格を決めた。

天皇杯でもJリーグ勢に2勝し、松田さんの古巣・横浜Fマリノスとの対戦も実現させた。でも、これがゴールではない。来年のJ2での戦いに期待する。個人的に撮る機会がなかったので、来期は是非とも取材したい。






ベガルタ仙台b.jpg ▽6位「被災地のベガルタ仙台が快進撃」

 被災地に本拠地を置くベガルタ仙台。震災後1カ月以上も仙台を離れ、戻ったのは4月29日。満員のユアスタに浦和レッズを迎えた試合では、気持ちが先走る面もあったが、前半終了間際、太田のヘディングで先制、その後はサポーターの大声援にも守られ1-0で勝利。この日は、Kスタ宮城でも楽天がホーム初戦に勝利、「ダブル白星」で、被災地に明るい話題を提供した。今年の仙台は「神がかった…」と感じる試合が一つや二つではなかった。被災しながら頑張ったサポーターや選手の思いが、勝ち点を「10」くらいは押し上げたと思う。

三浦知良.jpg ▽5位「震災チャリティーマッチでカズダンス披露」(3月29日、長居)

 震災から半月、当初の日本代表親善試合がキャンセルになり、紆余曲折を経て行われたJリーグ選抜とのチャリティーマッチ。カズ出場を知り「ゴールを決めてもらい、カズダンスを撮ろう」と、頭の中で勝手にシナリオを作った。結果は、見事にゴール。さすが「キング・カズ!」。だが、あの場所でダンスとは…。ベンチ前に走り寄り、テレビカメラを意識してダンスをするのが普段のパターン。それを見越してカメラマンを配置したのに…。カズさんも興奮したのかな?



 ▽4位「日本代表・22年ぶりのアウェー北朝鮮戦」(11月14日、平壌)
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試合内容とは全く関係ないが、個人的に今年一番残念だった出来事。22年ぶりの厳戒下でのアウェー戦。是非とも取材したかったが、立ちはだかったのが「北朝鮮入国」という大きな壁。申請しても、なしのつぶてで各社取材陣はやきもき。結局、試合2週間前に届いたのは「取材不許可」のメールだった。取材は代表になったが、危険覚悟で北朝鮮に渡った取材団に感謝。テレビで観ても圧倒されるほどのアウェー戦。体感したかった。

 ▽3位「柏レイソル、まさかのJ1優勝」(12月3日、埼スタ)
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 「まさか」と言うと、柏サポを自認する弊社Yカメラマンに失礼だが、それでも「まさか」である。追いかけるチームが名古屋グランパス、ガンバ大阪と強豪で、いつか追いつかれる、と思っていた。開幕戦の印象は「外国人頼り」。しかし、外国人に引っ張られる形で、田中順也や酒井宏樹のようなヒーローが台頭。何よりエースの北嶋秀朗が1年戦えたのが大きかった。ここも仙台同様、熱いサポーターが勝ち点を「10」くらい積み上げたかも? スタジアムを改修中だが、魅力はサポーターとの近さ。それだけは失わないで欲しい。ただし、カメラマンの立場からすると、ゲーム写真は撮りにくいスタジアム。ACLもあるので、こちらは改善を、ぜひ。

李忠成d.jpg ▽2位「日本代表・アジア杯優勝」(1月29日、カタール・ドーハ)

 震災で忘れられがちですが、これも今年なんです。
当初、日本代表はさほど期待されておらず、勝ち上がるにつれ日本国内が盛り上がったと聞く。

 ゴールを決めた選手が真っ先にベンチに向かい控え選手と抱き合う。チームがまとまっている証拠だ、と思った。




川澄奈穂美s.jpg ▽1位「空前のなでしこブーム、ちゃっかり記者も乗っかる?」

 男子同様、女子ワ-ルドカップに臨んだ「なでしこジャパン」も前評判はもうひとつ。やはり、勝ち上がるにつれて日本国内は大フィーバーに。「まさかの世界一」は、震災の暗いムードを吹き飛ばすかのようだった。なでしこブームは、国民栄誉賞にまで上りつめたが、サッカー以外でも選手の一挙手一投足に注目が集まり気の毒でもあった。スポーツ新聞的には紙面映えする、なでしこたち。取材機会はぐっと増えた。その副産物か、なでしこリーグを取材した写真が東京写真記者協会のスポーツ部門賞に…。色々な意味を含めて「彼女たちさまさま」です。

タグ:サッカー
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