なぜ卓球界に福原愛を超える逸材が続々と出現するのか? [卓球]

産経新聞 5月3日(火)18時34分配信

【スポーツ深層】

 卓球a.jpg1月23日まで行われた卓球の全日本選手権(東京体育館)は、例年以上に注目を集めた。男子シングルスで21歳の水谷隼(明大)が史上初の5連覇を達成し、“天才”と評されてきた17歳の石川佳純(ミキハウスJSC)が女子シングルスの新女王に。さらには小学4年の平野美宇(ミキハウスJSC山梨)と伊藤美誠(豊田町スポーツ少年団)の10歳コンビが、元祖“卓球少女”福原愛(ANA)の初勝利記録を更新して話題となった。世界を目指し、若手やジュニア世代の台頭著しい日本卓球界。今大会を振り返りながらその背景を探った。

■男女とも圧巻の新王者

 男子シングルス決勝後の優勝会見。「準備をしっかりしていれば最高のプレーができる。自分が思っている以上に自分は強いかもしれない」。水谷は自信に満ちた表情で語った。

 確かに圧巻の強さだった。昨年6月から、世界最高峰の中国スーパーリーグで腕を磨いた日本のエースは、初戦4回戦から決勝までの6試合中、4試合でストレート勝ち。11点先取を許したゲームはわずか「2」という完勝で、日本代表の宮崎義仁・男子監督は「成長具合が予想以上に早い。世界チャンピオンになれる逸材であり、その道をしっかり歩んでいる」と絶賛した。

 女王となった石川は度胸満開の攻めと緻密な戦略が持ち味。6回戦でシドニー五輪代表の小西に4-2で競り勝ち、準決勝では「大きな目標」だった5歳年上の福原を矢継ぎ早の強打で圧倒、4-1で下した。村上恭和・女子監督は「石川はこの1年間、海外で強い相手と戦って研究し、すべての技術でレベルアップした。まだ十分に伸びしろがある」と評価。報道陣の「いよいよ福原とエース交代か?」という問いかけに、「これまで世界のトップ10を破った人数を見れば福原の方が数段上。エース交代とはいえない」としながらも、福原については「今の実力で戦おうとするのではなく、今後は石川のように新技をつくっていかないと勝てない」と苦言を呈した。

 ■ジュニア養成で急成長

 水谷と石川には共通点がある。水谷は史上最年少の17歳7カ月で初優勝。石川は小学6年で全日本に初出場してから、13歳のときに福原より早く4強入りして注目を集めた。ジュニア世代からの活躍は、日本卓球協会が進めてきた小学生からのエリート養成策が実った結果といえる。卓球b.jpg

 2001年秋。協会は、“愛ちゃんブーム”で子どもたちに卓球が広まった追い風を受け、12歳以下(小学6年以下)の日本代表候補チーム「ホープス・ナショナルチーム」を結成した。小学生の全国大会で16強入りした選手を、体力テストなどでふるいにかけ、最終的に男女10人前後のエリートを選ぶ。水谷はその1期生で、石川や昨年8月のユース五輪で優勝した丹羽孝希(青森山田高)もここで育った。
卓球c.jpg
 チームは年に1回、国内合宿を行い、技術の鍛錬にとどまらず、栄養学や精神面の強化など多方面の知識を養うという。卓球の本場、中国での合宿を敢行するなど海外経験も積ませ、世界の技を学ぶきっかけをつかんだ水谷は中学2年でドイツへ留学。09年の世界選手権で男子ダブルス3位、昨年のアジア大会ではシングルスで銅メダルを獲得した飛躍の裏には、ジュニア時代からの育成強化があり、世界ランキングは7位にまで上昇している。

 そして現在、同チームに選ばれている10歳の平野と伊藤が今年の全日本で1回戦を突破し、福原の持つ最年少勝利記録を更新する快挙を達成。次世代のホープとして注目される2人は「夢はオリンピックで金メダルを取ること」と声を合わせる。

 チームを立ち上げた前原正浩専務理事は「2人は基本がしっかりしていて、欠点が少ないプレーをする。将来、世界で戦う選手になってほしい」と期待する。
 日本卓球界は悲願の五輪金メダル獲得に向けて種をまいてきたが、それが花を咲かせつつある。



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