【実業団女子駅伝】第一生命が17年ぶりの「完全優勝」 [マラソン]

 第一生命index1.jpg岐阜県から宮城県に舞台を移した大会で「初」の栄冠に輝いたのは第一生命だった。

 第31回全日本実業団対抗女子駅伝競走大会は18日、東日本大震災復興祈念特別枠の12チームを含めた計33チームが出場して行われ、東日本大会2連覇中の第一生命が9年ぶり2回目の頂点に立った。第一生命は1区から6区までトップを譲らず、94年のリクルート以来、17年ぶりとなる「完全優勝」を成し遂げた。

 パナソニックは過去最高の2位に入り、連覇を目指した西日本大会優勝の天満屋は4位。中日本大会の覇者、豊田自動織機は12位に沈んだ。00年以来入賞(8位以内)を続けていた三井住友海上も11位にとどまり、連続入賞は11で止まった。唯一の東北勢として出場した地元宮城の日本ケミコンは16位だった。(スタート時の気象=晴れ、気温7.0度、湿度50%、南南東の風1.1メートル)

 第一生命は1区・尾崎がスターツ・土井とのラスト勝負を制して先頭に立ち、2区・横沢が後続との差を19秒に。大きなリードを利して3区以降も落ち着いたペースで走り、危なげなく独走した。

 2位争いは、序盤から上位につけたパナソニック、スターツと、1区で出遅れたものの3区でともに11人を抜いて浮上したデンソー、積水化学の4チームの勝負に。5区まで激しく競り合ったが、6区でパナソニックの山崎が抜け出して2位。積水化学が馬場の粘りで3位に入った。

 天満屋は中盤が振るわず14位まで後退したが、5区区間賞の重友、6区区間2位の坂本の追い上げで4位に食い込んだ。
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 ◇第一生命はエース尾崎起用が奏功

 アップダウンが多く、勝負のカギを握ると予想された1区で、第一生命はエースの尾崎起用が奏功した。1キロほどの長い上りを終え、中間点を過ぎた直後だった。けん制し合う集団で他選手と接触しかけたのを機に、スイッチが入った。転倒を避けようとペースアップ。最後はスターツ・土井との一騎打ち。「上りはきついけど、すぐに下るので回復できた」と尾崎。下りに強い特長も生かし、自身初の区間賞でタスキを渡した。

 9年前の初優勝時を含め、全日本で6回目の1区を担ったスペシャリストの好走は、群馬・常磐高出身の新人、2区の横沢に勇気を与えた。すぐにスターツ・高木に追いつかれた横沢だが、ひるまず1.5キロ過ぎから仕掛け、独走。「3区の後半か、5区の後半でトップに立てれば」という山下佐知子監督の予想を覆す力走だった。主導権を握ったチームは、最長3区の主将・勝又らが貯金を守り抜いた。
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 8月の世界選手権では尾崎、野尻がマラソンで失速。11月の横浜国際女子マラソンでも、尾崎が2位と惜敗し、チームの勢いは衰えかけた。山下監督は「悔しいし、悲しかったけど、被災者の皆さんの悲しみは次元が違う」と前向きな気持ちを取り戻した。09年は3位、昨年は2位。尾崎は「勝つことの難しさを味わいながらチームが一つになった」。21歳での初優勝と違った重みをかみしめた。【井沢真】

 ○…最長3区を走った天満屋のエース・中村は試合後、武冨豊監督に歩み寄り、頭を下げた。返ってきたのは口調こそ穏やかだったが、厳しい言葉だった。「あなたの良さは積極性。どんどん勝負しないと。自分の良さを頭において戦いなさい」。3区では12人が入賞圏内の8位を争う展開となったが、本調子でない中村が自ら仕掛けることはできなかった。最終的に4位とチームは底力を見せただけに「もう少し自分が……」と悔し涙が止まらなかった。

 ○…積水化学が98年に続く過去最高タイの3位と健闘した。1区では出遅れたものの、2区のルーキー松崎が区間賞の快走で11人のゴボウ抜き。3区のエース清水も11人抜いて期待に応えた。野口英盛監督は「松崎は高卒1年目とは思えない負けん気の強さを発揮できた。清水も『自分がやらないといけない』との責任感が実を結んだ」。98年のチームには高橋尚子さんが在籍。当時、5歳だった松崎は「(高橋さんのように)人に勇気を与える選手になりたい」と語った。

 2011年12月18日

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