佐伯霞 女子アマボクシング界の「期待の新星」 [ボクシング]

 軽快なフットワークで、身長154センチの小柄な体からスピードのあるパンチを繰り出す。大人の男性選手を相手にしても、ひるむことなく前へ前へと向かい、力強く連打。「手がマシンガンみたいに出てくる」と、指導するABCボクシングジム(大阪市大正区)の池原正秀会長(53)も舌を巻くほどだが、本人は「打たれたら2倍、3倍にして返すだけ」と平然。そんなところにも、池原会長がほれ込む「気持ちの強さ」がみてとれる。
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 昨年4月にトルコで開かれた第1回世界女子ジュニア選手権の48キロ級で優勝。国際アマチュアボクシング連盟主催の大会で日本人が頂点に立つのは、男子やシニアを含めて史上初の快挙だった。

 決勝戦の相手は、ベトナムの大柄な強豪選手。「大きいな、強そうだな、と思ったけど、リングにのぼったら相手が小さく見えた。ゴングが鳴ると関係ないですね」と強気の一方で、「最初は優勝の実感がわかなかったけど、帰国してたくさんの取材を受けてすごいことなんだ、と思えた」。そう言ってはにかむ姿は、あどけなさの残る15歳の女子中学生だ。福山雅治さんの大ファンでファンクラブにも入り、コンサートに行くのが一番の楽しみという。

 格闘技の世界に足を踏み入れたのは小学1年のとき。父親と一緒にキックボクシングを始め、パンチ強化のためにボクシングにも取り組むように。女子ボクシングが五輪競技として正式採用されることが決まると、中学1年で転向した。「ボクシングは2本の腕でいろんな技を繰り出し、駆け引きもあって、奥が深いと思う」と魅力を語る。  
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 毎夕、自転車で30分かけてジムへ向かい、2時間のトレーニング。帰宅後も近所を走り込む。「練習をサボれば結果に出る。練習すれば自信がつく」。その思いが体に染み込んでいるのか、ジムで友達と話をしている休憩中も、無意識のうちにシャドーボクシングを始めている。「信号待ちのときも体が勝手にシャドーボクシングをしていて、一緒にいるお母さんに『恥ずかしいからやめて』って言われる」と照れ笑いする。

 目標は長谷川穂積とマニー・パッキャオ(フィリピン)の両選手。「ボクシングはスピードと手数と気持ち。2人の戦い方が好き。一歩でも近づきたい」。そう力を込めた視線は、年齢制限で出場できないロンドン五輪の“次”を、しっかりと見据えていた。



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