【フィギュア国別対抗】 高橋大輔 日本引っ張る２６歳のエース

　観客席のスタンディングオベーションがなりやまない。笑顔の高橋が両手を広げて応えた。ＩＳＵの公式戦ＳＰで歴代最高となる９４・００点。「自分の中では、点数を出してもらいすぎた」と謙虚に喜びの感情を表した。

　世界選手権では、後ろにつけた３回転ジャンプを失敗した冒頭の４回転ジャンプを単発に変更。確実に決めて勢いに乗ると、続くトリプルアクセル（３回転半ジャンプ）に、２連続３回転ジャンプを次々に成功させた。さらに、４つのうち３つで最高難度のレベル４だったスピンとステップを披露し、まさに独壇場だった。

　世界選手権から約２週間後の今月１０日、休養の時間を作った高橋は、神戸市のアイスリンクに立っていた。東日本大震災のチャリティー演技会に出演するためだった。

　「今回の震災も阪神大震災も自分は経験していない。ただ、何か力になれることはあるはずだ」。神戸の演技会は発起人に名前を連ねた高橋の思いが形になったものだ。「世界選手権直後で、１００％の状態ではなかった。来てくれた人たちに失礼かとも思ったけれど、少しでも復興の手助けをしたかった」。この思いがあったからこそ、神戸の会場は大歓声に包まれた。

　震災から１年と少し後に行われた日本での国際大会。「こういうときだからこそ、日本が勝てるように頑張りたい」。主将であり、エースの２６歳が、圧巻の演技で日本チームを鼓舞した。

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